平城京の「端っこ」はマナビがテンコモリだった話し。・・・20170819sat.@Narative・奈良

「端っこ」から学んだ。境界、と言い換えてもいい。

8月19日(土)開催の「Narative(*1)」は、主催者と参加者の境界のようなポジションで関わらせてもらった。

中学、高校、大学ほかの気鋭の教育関係者たちが、なんかやろうぜ!と意気投合したのは昨年の秋頃だった。、、、と聞く。
イベントを率いる、いわゆる「中心的」メンバーのみなさん。その一人である筒井先生(*2)に「8月に、奈良で、おもしろい人たちがオモシロイことしますよ(ニヤリ)」と声をかけられたのが今年5月。

奈良で?教育??ICT??当然アクティブラーニング、しかも「ナラティブ」だって、、、??
「それはオモシロソウですね!(参加者として)」と口からこぼれたら、ぽいっ!と実行メンバーのメッセンジャーグループに加えられてしまった(おや?)のが私にとっての始まりである。

タイトルにヤラレタのが運の尽き?

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「メッセンジャー」と「SLACK」の2種のグループに放り込まれた(←言い方!失敬)のだが、この時点で知っていたのは筒井先生1人。10名ほどか、会ったことのないメンバーから次々とtタイムライン上にメッセージが重ねられるが、状況が把握できない。(SLACKはハンドルネームで入っていたりするし、顔写真でなかったりもするし、ますますワカラナイ。個体認識ができない~。)

Zoom(*3)でのオンライン会議が開かれて、ようやく、うっすら、リンカクが見えてきた。

5月からの参加で、私のタッチポイントはZoom会議2回、現地の下見歩き1回、あとはメッセンジャーとSLACK(*4)ですべてが進められた。
リアルは、わずかに下見(*5)の機会だけである。果たして19日の行基像(*6)前で、「ハジメマシテ」の運営メンバーのみなさんとお会いすることとなる。

行基さんのおひざもと、40名以上が集合、Zoomを各自のスマホにセッティング

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8月19日(土)プログラム概要

・午前:高畑界隈(新薬師寺、志賀直哉旧邸)をまち歩き、Zoomによる解説つき
・午後:奈良女子大付属中等学校にてA、Bの2教室に分かれて各種ワークショップ体験
ラストに全員で一日の体験をシェア
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かつての平城京の「都の端っこ」を出たり入ったりする散策ルート。
リアルで40名、オンラインの参加が入れ替わり立ち替わりのべ20名ほどだろうか?これほどの規模でのZoomによる多元中継まちあるき(ブラタモリ?)はおそらく世界で初のココロミ。

興福寺からスタート。この風景、このエクスペリエンスが無料(タダ)なのが奈良のスゴイとこ

タモさん役の前川先生(*7)が遠方(福岡)であるのを筆頭に、それぞれフィールドの異なる運営メンバーどうしが事前に会えたわけでなく、メッセンジャーでの打合せも詳細までは及ばない。Zoomすらタイミングが合わず参加できないメンバーも。限られた条件、限られた時間の中、当日に向けて、各人が役に立つかな?と思う準備を持ち寄り、現場の動きを読みながらスタートした。

タモさんこと前川先生が目の前のものを次々と解説しつつウォーク

高畑の土塀のまちなみを歩く。イヤホンからはZoom解説

この状況が「端っこから」見え隠れしていた私は、ひたすらみなさんの現場対応力、臨機応変力、パラレル処理力に、マジ、びっくらした。プレイヤーどうしがそれぞれに起点となり、ノールックでパスを回し合う南米系?のサッカーの試合のよう、、、!

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午後の会場は奈良女子大付属中等教育学校

PCルームで信貴山縁起絵巻を題材にデジタルワークショップ

プログラミングを体験してロボットを動かしてみるワークも

ビジュアルで直観的に操作

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一方で、私の動きは鈍かった。(反省)
ワークを担当するでなく、「遊軍」のような立場にいたのだから、もっと臨機応変に、小さな対話の起点になれたろうに。

「今から何がおこるのか」、ロクにわかっていない私であったが、参加いただいたみなさんは、さらにもっとわかるはずもなく。
サプライズを楽しんでいただくのが主であるものの、人によってはフォローがほしいと思われることもあったろうな。

「端っこポジション」ならではの、参加のみなさんからの小さな波のキャッチアップを、もっとできたろうに。(→私よ。猛省)

教室を2つに分けてプログラムは同時進行

問いを自ら設定し、提案へといたるワークショップ

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ところで、この「端っこ」ポジション。

ここは、とても重要なポジションである、と日ごろ感じている(*8)。
変動(振れ幅)がとても大きなポジションである。

いわゆる「中心」にいると自覚しているとき、多くの人は、モチベーション高くガッツリと動くだろう。
「端っこ」のとき、どう動くか。あるいは、端っこのメンバーと、どう接するか。

ナラティブ運営メンバーのみなさんは、私という「端っこ的」メンバーを、じつにうまく、「ふんわりと」ホールドしてくれたのだ。
圧力をかけるでなく、少ない情報の中から私という個性を推し量りつつ、これどうかな?という球を出してくれたり。これによって、限られた時間ながら、自分なりの関わりどころが楽しくできた(*9)。

「端っこ」に係る柔軟性。ここをやわらかく対応できるかどうかは、組織にとってはとても大きい。

プログラムの最後に1日の経験をシェア

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リアルで会わずに、オンラインですら限られた時間と情報の中、「中心的」から「端っこ的」なメンバーまで、それぞれがそれぞれに、可能なこと、有効だと思うこと、何より自分にとって「今・ガチで興味あること、チャレンジしがいのあること」を持ち寄り、パスを出し合い、受けとめ合い、パラレルに、同時に、かつ多様に、気付いたら即座に軌道修正をかけつつ、行動する。
当日ハジメマシテなメンバーは私だけではなく、オンライン上のサポーターまで含めれば、海外までゆるやかなネットワークがグラデーションを成しており、網の目状の組織が絶えず自律的に変化する。

ナラティブというイベントは、メイキングから当日の運営まで、一貫してこのようなスタイルで実行された。

このダイナミズムが、とっても近未来的、、、!!、、、と、ワクワクとステキなポジション「端っこ」で体感した。

これが私の、Narativeのナラティブ体験なのである。

奈良開催ならではのステキな問いは今も響いている

■余談 「平城京の端っこから ―高畑の風景―」

平城京の端っこだからこそ、天平の美仏とともに歴史的な家並みが残っており、背景の山々が近く、往時の風景を偲ばせる。
端っこならではの静けさと自然環境をぞんぶんに活かしたモダンな作家のサロンもある。
そこへ奈良を愛する写真家の作品を収めた現代的な建築の風景が重なる。
この写真館、「なんで観光客も少ないこんな奈良の端っこに超絶クオリティーの現代建築があるわけ?」と、そのギャップにびっくりする。
、、、しかし、今回久しぶりに高畑を訪れて、「ここだからできたのだな」と妙に納得した。スゲイぞ、端っこ。

志賀直哉自身がディレクションしたモダンなサロン

奈良を愛した入江泰吉の写真を収める美術館は黒川紀章設計

■補足

*1
「Narative(★) 未来の学びを語る夏 歴史の叡智とICTでつなぎむすぶなら(奈良)」イベント告知ページ
https://peraichi.com/landing_pages/view/narative

★そもそも「ナラティブ」って?
今、さっくりググってみても、手頃なものがヒットしないので、ざっくり私の認識を書きますと~、、、。「ストーリー」も「ナラティブ」もどちらも「物語」だけれど、誰が語っても変わらないのが「ストーリー」で、「私」を通した私の物語が「ナラティブ」。人がいればいるだけ、それぞれのナラティブがあります。、、、とざくっと理解しています。
あ、ちなみに、ナラティブの(単語としての)スペルはNarrative。イベントの「Narative」は「奈良・Nara」だからこその、オサレな?固有名詞です~!

*2
筒井洋一先生。今年(2017年)4月に京都工芸繊維大学での授業を見学・参加させていただいたのがご縁の始まり。プロフィール詳細は*1のHPにて。授業見学の様子はこちら。
https://mlog.link-cd.jp/20170708-220.html

*3
Zoomはね~、100人同時に入れるスカイプ、と思っていただければ。
画面の切り換え(編集)、録画ができたりする。ホワイトボード機能があったりするらしく、オンラインで、かなり「いっしょにつくっている感」が共有できる。

*4
SLACKはね~、カテゴリーごとにスレッドが立てられて、ログが残せる、オンラインの会議室、テキなやつ。(←ザツやな~)

*5
下見の様子はこちら。
https://mlog.link-cd.jp/20170802-357.html

*6
言わずと知れた、奈良の超定番待ち合わせスポット。ナラケンミンは、それが誰かもカイモクわからないこどもの頃から「ギョウキ前で!」と待ち合わせしてきた。後に歴史の授業時間に「こんなエライヒトだったのか!」と知る。

*7
前川修一先生。歴史の先生としての知識は言うに及ばず、奈良のまちを、目の前の参加者さん+仏像+車+シカ(!)に加え、イヤホンからのオンラインのリクエストに次々と対応しつつ、「ブラタモリ」をアナウンサーも裸足で逃げるほどの美声&名調子で語りきり、歩ききった。福岡が本拠地なので、下見歩きはしてないんだよ~!なんでできんねーーーんんん!!(驚)。プロフィール詳細は*1のHPにて。

シカとの対話もぬかりない

*8
もちろん、中心も、そのすぐとなりも、端っこまで、スベテのポジションがそれぞれに重要である。
ただ、グラデーションの端になればなるほど、ここの層の厚みや柔軟性や寛容性による、運動や熱量の「総量の振れ幅」が大きいなあ、と思うのである。

*9
当日は数少ないジモト奈良メンバーとしてまちあるきをサポートしました。いろんな視点をもつみなさんとまち歩きできたこと、午後のワークの刺激を受け発見が続々。

奈良時代の地図と歩いたルートを照らし合わせてみた