願っていたことが起きてしまった、、、!
9月18日、大草ゼミの合宿(*1)でのことである。
* * *
「動機のデザイン」の着想を、輪郭のぼやけたひな形ながら、Xデザインフォーラム(*2)でお披露目してから2年。
シンプルにしないと伝わらない。
使ってもらえない。
遠くまで届く形にしたい、と、ぐぐぐ、とバージョンアップを試みた、2019年上半期。
まず6月1日開催のHCD研究発表会(*3)にエントリーしてみた。
これを「締め切り」として、無理矢理に自分にアウトプットを課した。
こうでもしなきゃ、「自分クライアント」の仕事なんて前に進まない。
そこで初めて、「KKDモデル」という<姿>に変換してみた。
ここまでシンプルにして良いものか、と迷いもあった。
シンプルにすると、飲み込みやすいが、落ちるニュアンスもある。
悩んだが、まず「伝わること」を選んだ。
にじみやニュアンス、但し書きは、大きな概念を受け取ってもらった上で、2番目に伝えられたら良し、とした。
受け取った人が、すぐ覚えられて、アレンジしやすいことを目指した。
、、、というか、「そうなったらいいな」と、はかなくも願いながら、シンプルなモデル図にしてみた。
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HCDフォーラムではポスター発表に先駆け、予稿(HCD版)を書いた。
読んでも「動機のデザイン」がなんなのかわからないとの指摘を受け(イタタ)、それとともにいただいたさまざまなアドバイスに背中を押され、9月4日のHI学会シンポジウム(*4)の対話発表ポスター部門にエントリー。
HI版の予稿ではもう一歩踏み込み、<言葉>にしてみた。
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モデル図であれ言葉であれ、人に伝わるほどに表せたか。、、、かどうかは依然として心もとない。
まだまだ足りない、至らないことが続々と見つかる。発展途上である。
けれど2つの機会を得て、自分の経験や考えを、かつてない鮮やかさで「自分で」確認できるほどには、くっきりとしてきたのでは、と思う。
そして、このタイミングで、大草ゼミの合宿に呼んでいただいた。9月18日である。
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ゼミ生7名に加え、会場の「オトナリラボ」(*5)主宰の芳野尚子氏、成安造形大学 地域連携推進センター(愛称:ちれん)のスタッフ2名に大草先生、11名の前で話す。、、、というか、物理的には、ワイワイと「中にまみれて」話す。
事例を4件、急ぎ足で話したものも含めれば6件を、写真や実物資料とともに紹介。さらに、これら現場の経験の上に導き出した「動機のデザイン」の概念と、これを抽象化し図化した「KKDモデル」を披露した。
みなさん、どのように受けとめてくれたのだろう?
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後日、ちれんのスタッフ(*6)が当日のレクチャー中に描いた、というグラレコの画像を送ってくれた。
、、、ヤバイ。
、、、使われている。
KKDモデル図である。
単に「聞いた話しを書き留めた」のでは、全くもって、ない。
レクチャーを聴きながらリアルタイムで、彼は、自分自身の立場や、自分がプロジェクトをともにするメンバーを、モデルに投影し、彼がこれから起こしたい、彼オリジナルの<変化>を書き表していたのだ。
アカン。ヤバイ。
モデルの成立条件は、他者に使われることだ(*7)。
単になぞる、のではなく、自分ではない誰かの身体を通過した上で、使われる―つまり新たに生み出されることだ。
、、、どうしよう。
この一歩は人類にとっては小さいが、「動機のデザイン」にとっては大きな一歩である。
成安造形大学メディアデザイン領域(現 情報デザイン領域)、大草ゼミの4年生とともに。
主宰の大草真弓先生には、常日頃私の未開の価値を探し出してもらい、カタチにするまでの動機づけをおこなってもらっている。
今回もまた絶好の機会をつくっていただいた。(本記事に使用の写真も大草先生撮影によるもの多数。)
*2:“Xデザインフォーラム”
2017年9月24日開催。@千葉工大。この発表に向けて、「カタチ」「価値」に並ぶ3つめのデザインの焦点「動機のデザイン」を強く自覚した。ブログはこちら。
https://mlog.link-cd.jp/20171003-521.html
*3:“HCD研究発表会”
2019年6月1日開催@芝浦工大。主催は人間中心設計推進機構。
発表の形態は「ポスター」であるが、「予稿」を書くことが主たる目的であった。この予稿執筆に苦しむ中で「KKDモデル図」が出てきた。
フォーラムでは「ポスター発表優秀賞」をいただき、「HI学会の発表者の受け付けしてるよ、出してみなよ!」と多くの人に背中を押していただき、HIへのエントリーを決めた。
*4:“HI学会シンポジウム”
2019年9月2~5日開催@同志社大学。主催はヒューマンインタフェース学会。
HCDで表しきれなかったことを、HI版(特に予稿の論文)ではもう一歩踏み込んだ。
会場では東京から駆けつけたIkuko Nakajimaさんはじめ、多くの新鮮な反応と貴重なフィードバックを得た。(Nakajimaさんからはモデルの分析を伴う驚異のメモをもとに、即時にマンツーマンでフィードバックをいただいた。感謝。泣。)
*5:“オトナリラボ”
主催の芳野尚子氏は学生時代、小社でアルバイトスタッフながら闊達な活躍でいろんなことを「なんとか」してくれていた。
そしてこの日、私の前に発表された彼女の取り組み―、自分自身の課題意識や、幅広い領域に及ぶ力を使って柔軟に取り組む彼女の動きこそ、「動機のデザイン」のリアルで瑞々しい事例であった。ムネアツ。
▼「こどもとはたらく オトナリラボ」
http://www.ovalplan.co.jp/otonari-labo/index.html
*6:“ちれんのスタッフ”
グラレコ(グラフィックレコーディング)を描いたのは、ちれん職員であり、アーティストであり、デザイナーである山本友輔氏。
自身が日頃、当事者たるアーティストをサポートし、一方で当事者の立場を味わっているゆえか、両方の視座から、完全に「自分のもの」としてモデルの図と概念を「使って」くれている。
参加のもう一人、寺井氏からも後日、自身の活動を重ねた分厚いメールを頂戴した。
「動機のデザイン」と「KKDモデル」、2名が「使って」くれている。泣。
*7:“モデルの成立条件は、他者に使われることだ”
これは、2019年3月に明治大学 渡邊恵太先生による「PDUデザイン」モデルがよってたかって(?)使われている場に遭遇し、電撃的に思ったことである。
ブログはこちら。
https://mlog.link-cd.jp/20190309-821.html
▼エントリーNo.10 「当事者を主体者に変える、『動機のデザイン』とプロセスモデル」
~小さな現場が自律し行動し続けるための、デザイナーの視点と働き~
https://www.hcdnet.org/practice/news/hcd-1356.html
★追記@20191201★
その後、「HCD-Net AWRRD 2019」、なんと「最優秀賞」をいただきました、、、!ご覧いただいていたみなさま、本当の本当にありがとうございました、、、!(ブログにまとめました)