ナラティブな奈良歩きで「絶対(時)空間座標」がタテヨコ繋がった話し。・・・20170801tue.@奈良・高畑界隈

奈良を歩いた。

めちゃめちゃ楽しいまち歩きだった、、、!!!、、、というノリでは収まらない、何かざわつく、深層をゆさぶるまち歩きだった。
歩きはじめてほどなく、自分の深層にリーチしているな、という不思議な感覚があった。
今京都に帰り着き、半日ながらタイムトラベルしたような「目眩」をあじわっている。

*  *  *

8月19日(土)、「Narative(ナラティブ)」というイベント(*1)が開催される。多種多様な教育現場で活躍するメンバーが、古都・奈良を舞台に「今、自分が気になるテーマ」を持ち寄り、実験的な学びのワークショップをしようというもの。奈良の人は少ない。が、それぞれがよりにもよって(?)奈良に「なにか」を触発されているという点がとても興味深い、、、ということをチラリと顔に出したら、いつのまにか(?)メンバーの(ごくごく)すみっちょに加わって(加えられて?)いた。(あれ?)

当日の午後は会場(奈良女子大学附属中等教育学校)でいくつかのワークが開かれ、午前は奈良のまち歩き。イベント全体の導入でもある。一種の「ブラタモリ」なのだが、中学・高校・大学で歴史を教える&研究するメンバーが中心にナビゲートするので、ちょっとした会話のひとつひとつが、じつにワクワクとオモシロイ。

今日(8月1日)はその下見(*2)として会場までの道を歩いた。

ナラティブ実行メンバーのみなさんと下見。手にしたPCでZOOMの中継の実験

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コースのメインは高畑である。
奈良歩きの「レイヤー1」が東大寺界隈とすれば、ならまち界隈は「レイヤー2」、高畑は「レイヤー3」か。

レイヤー1。シカさんと外国人観光客というおなじみ?の風景

レイヤー2。生活の顔も見えてくる ならまち界隈

レイヤー3。時間の流れも変わったかのよう

1、2、3と進むにつれて、累乗的に人(観光客)が減っていく。
それだけでもタイムトリップには好都合なのだが、さらに、この界隈がタイムトリップに適している点に気が付いた。

ここは平城京の「端っこ」なのである。

*  *  *

高校まで奈良(田原本)に住んでいた。家の商売柄、古社寺に数多く訪問する機会があった。高畑のお寺、新薬師寺は当時から好きだった。仏像がスケールアウトして異様に緊密に並び立つ堂内の空間も好きなのだが、風景にドキドキする。

ゆるくカーブする道と土塀。いよいよ新薬師寺

こじんまりとした外観からは想像がつかないくらいの密度で堂内には仏像が立ち並ぶ

土壁の細い坂道を上り詰めると視界が開け、ここより先が「山の辺の道」との道標があり、「白毫寺へ」とある。そのころは「なぜ」とも知らなかったが、「何か目に見えない境界を超える」違和感(恐怖のような、期待のような)を感じ取っていた。不思議にざわざわする「端っこ感」を感じていたのである。

「山の辺の道」の道標の先は田園風景。空間の密度が不意に変わる

*  *  *

今日、その謎が解けた(気がスル)。
ここは平城京の端なのだ。当時最先端の世界都市・奈良の整然とした条坊制の京(みやこ)の風景が果て、それより古い土地(石上や飛鳥・藤原京)へと繋がる道と風景が始まる。

条坊制の境界を自分の足で歩いたことから、体感の「モノサシ」ができた。これを延伸して、ぱあっと平城宮址を越えてひろがる平城京の広さを体感した(もちろん「本人談」である。笑)。
さらに、奈良盆地の底・田原本で生まれ育った私のセンサーは「それより南の奈良」「それより古い奈良」に反応する。「境界のモノサシ」から、藤原京ほかその他の古い土地との距離感を体感できた(と感じる)。家の前の道路下から大量の葦が出た、弥生が足もとに眠る田原本のマップや、飛鳥の部分的脳内マップは持っていた。斑鳩も。三輪も。これら細切れの脳内マップが、「モノサシ」を得たことから絶対座標で「繋がった」感を得た。

「奈良時代MAP」この本に大きなヒントをもらった(奈良時代の条坊制の地図と現在の地図を重ねて見られる)

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奈良を離れ、京都に暮らして長いが、自分の(絶対音感ならぬ)「絶対土地感」というべきものが、今も奈良(なかでも田原本)を「絶対座標ゼロ地点」としているらしきことにあらためて気付き、驚いた。

、、、けれど、これは動物的に考えれば「アタリマエ」のことなのかもしれない。その環境の「内」に生まれ、自他の区別がつかないところから(自分にとっての)世界観がスタートしたのである。基層に編み込まれた「ゼロ座標」に比べれば、どんなに長く暮らそうと、それ以外の土地は「外から入っていった土地(つまり座標にはなんらかの数値が入る)」だろう。

*  *  *

「高校までの時空間と今」「奈良の京のウチとソト」。
2つの境界を行ったり来たりすることとなった今回の下見ツアーは、奈良にゼロ地点を持つ私にとって(想像もしなかった)基層が揺れる経験となった。

しかし奈良生まれでなくとも、今回のコースは「ゆさぶりをかけてくる」ものになるのではないか。
「まんなか」にはまんなかにしかない没頭のオモシロサがあるが、「境界」には境界にしかない不連続の・俯瞰的なオモシロサがある。2つの異なる世界を瞬時に体感できるオトクな(?)場なのだろう。

違いの差分がゆさぶりを生む。

、、、そうか。みなさん、奈良に何か「差分(の予感)」を感じているんだな??8月19日のワークショップがタノシミ、、、!なのである。

ワークショップ会場となる奈良女子大付属中学。シカさんが入るのね(やっぱり~)

■補足

*1
「Narative」…奈良とプログラミング?ICTと古典??差分がキニナル学びのワークショップ。
8月19日(土)開催。会場は奈良女子大学附属中等教育学校。マナビの最前線で活躍するメンバーが各ワークを担当。
紹介ページはこちら。https://peraichi.com/landing_pages/view/narative
(私はほんの少しだけお手伝いしています)

*2
新薬師寺(奈良時代)と志賀直哉旧邸(近代)をポイントとして巡る。時空間の差分を味わってほしい。「Narative」当日はこのまち歩きの様子をZOOMで中継する。

モダンなダイニングのある志賀直哉旧邸は文化人が集うサロンだった

次から次に目に映るものに実況ナマ中継。知識と好奇心たっぷりのみなさんのトークからたくさん触発されました

■追記/メイキング裏話

※その1
下見ツアーは二田 貴広さん、小坂 至道さん、筒井 洋一さん、私の4人で実行。ZOOM環境は筒井さんがセット。
終点の付属中学の一室にてプランのまとめ。本番当日のまち歩きご担当の前川 修一さんとZOOMでチャットし、遠方(福岡?)からリアルタイムでフィードバックをいただきブラッシュアップ。みなさんそれぞれにアイデア豊富で判断が早く、あっという間にカタチになっていく現場はまさにワークショップ!すでにこのプロセスが実験的で発見がイッパイでした、、、!

ZOOMで遠方(福岡)からの参加も得て、どんどんまとまる

下見歩きマップ。当日はどうなるでしょう~??

※その2
下見歩き中たくさん目にした奈良スイーツにココロ奪われ、ちゃっかり食べて帰りました。特にならまち界隈、お洒落なリノベショップ&スイーツがたくさんありました~!

キンナラ界隈でイートイン。奈良の食材にこだわったスコーン専門店でした♪

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