奈良を歩いた。
めちゃめちゃ楽しいまち歩きだった、、、!!!、、、というノリでは収まらない、何かざわつく、深層をゆさぶるまち歩きだった。
歩きはじめてほどなく、自分の深層にリーチしているな、という不思議な感覚があった。
今京都に帰り着き、半日ながらタイムトラベルしたような「目眩」をあじわっている。
* * *
8月19日(土)、「Narative(ナラティブ)」というイベント(*1)が開催される。多種多様な教育現場で活躍するメンバーが、古都・奈良を舞台に「今、自分が気になるテーマ」を持ち寄り、実験的な学びのワークショップをしようというもの。奈良の人は少ない。が、それぞれがよりにもよって(?)奈良に「なにか」を触発されているという点がとても興味深い、、、ということをチラリと顔に出したら、いつのまにか(?)メンバーの(ごくごく)すみっちょに加わって(加えられて?)いた。(あれ?)
当日の午後は会場(奈良女子大学附属中等教育学校)でいくつかのワークが開かれ、午前は奈良のまち歩き。イベント全体の導入でもある。一種の「ブラタモリ」なのだが、中学・高校・大学で歴史を教える&研究するメンバーが中心にナビゲートするので、ちょっとした会話のひとつひとつが、じつにワクワクとオモシロイ。
今日(8月1日)はその下見(*2)として会場までの道を歩いた。
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コースのメインは高畑である。
奈良歩きの「レイヤー1」が東大寺界隈とすれば、ならまち界隈は「レイヤー2」、高畑は「レイヤー3」か。
1、2、3と進むにつれて、累乗的に人(観光客)が減っていく。
それだけでもタイムトリップには好都合なのだが、さらに、この界隈がタイムトリップに適している点に気が付いた。
ここは平城京の「端っこ」なのである。
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高校まで奈良(田原本)に住んでいた。家の商売柄、古社寺に数多く訪問する機会があった。高畑のお寺、新薬師寺は当時から好きだった。仏像がスケールアウトして異様に緊密に並び立つ堂内の空間も好きなのだが、風景にドキドキする。
土壁の細い坂道を上り詰めると視界が開け、ここより先が「山の辺の道」との道標があり、「白毫寺へ」とある。そのころは「なぜ」とも知らなかったが、「何か目に見えない境界を超える」違和感(恐怖のような、期待のような)を感じ取っていた。不思議にざわざわする「端っこ感」を感じていたのである。
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今日、その謎が解けた(気がスル)。
ここは平城京の端なのだ。当時最先端の世界都市・奈良の整然とした条坊制の京(みやこ)の風景が果て、それより古い土地(石上や飛鳥・藤原京)へと繋がる道と風景が始まる。
条坊制の境界を自分の足で歩いたことから、体感の「モノサシ」ができた。これを延伸して、ぱあっと平城宮址を越えてひろがる平城京の広さを体感した(もちろん「本人談」である。笑)。
さらに、奈良盆地の底・田原本で生まれ育った私のセンサーは「それより南の奈良」「それより古い奈良」に反応する。「境界のモノサシ」から、藤原京ほかその他の古い土地との距離感を体感できた(と感じる)。家の前の道路下から大量の葦が出た、弥生が足もとに眠る田原本のマップや、飛鳥の部分的脳内マップは持っていた。斑鳩も。三輪も。これら細切れの脳内マップが、「モノサシ」を得たことから絶対座標で「繋がった」感を得た。
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奈良を離れ、京都に暮らして長いが、自分の(絶対音感ならぬ)「絶対土地感」というべきものが、今も奈良(なかでも田原本)を「絶対座標ゼロ地点」としているらしきことにあらためて気付き、驚いた。
、、、けれど、これは動物的に考えれば「アタリマエ」のことなのかもしれない。その環境の「内」に生まれ、自他の区別がつかないところから(自分にとっての)世界観がスタートしたのである。基層に編み込まれた「ゼロ座標」に比べれば、どんなに長く暮らそうと、それ以外の土地は「外から入っていった土地(つまり座標にはなんらかの数値が入る)」だろう。
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「高校までの時空間と今」「奈良の京のウチとソト」。
2つの境界を行ったり来たりすることとなった今回の下見ツアーは、奈良にゼロ地点を持つ私にとって(想像もしなかった)基層が揺れる経験となった。
しかし奈良生まれでなくとも、今回のコースは「ゆさぶりをかけてくる」ものになるのではないか。
「まんなか」にはまんなかにしかない没頭のオモシロサがあるが、「境界」には境界にしかない不連続の・俯瞰的なオモシロサがある。2つの異なる世界を瞬時に体感できるオトクな(?)場なのだろう。
違いの差分がゆさぶりを生む。
、、、そうか。みなさん、奈良に何か「差分(の予感)」を感じているんだな??8月19日のワークショップがタノシミ、、、!なのである。
■補足
*1
「Narative」…奈良とプログラミング?ICTと古典??差分がキニナル学びのワークショップ。
8月19日(土)開催。会場は奈良女子大学附属中等教育学校。マナビの最前線で活躍するメンバーが各ワークを担当。
紹介ページはこちら。https://peraichi.com/landing_pages/view/narative
(私はほんの少しだけお手伝いしています)
*2
新薬師寺(奈良時代)と志賀直哉旧邸(近代)をポイントとして巡る。時空間の差分を味わってほしい。「Narative」当日はこのまち歩きの様子をZOOMで中継する。
※その1
下見ツアーは二田 貴広さん、小坂 至道さん、筒井 洋一さん、私の4人で実行。ZOOM環境は筒井さんがセット。
終点の付属中学の一室にてプランのまとめ。本番当日のまち歩きご担当の前川 修一さんとZOOMでチャットし、遠方(福岡?)からリアルタイムでフィードバックをいただきブラッシュアップ。みなさんそれぞれにアイデア豊富で判断が早く、あっという間にカタチになっていく現場はまさにワークショップ!すでにこのプロセスが実験的で発見がイッパイでした、、、!
※その2
下見歩き中たくさん目にした奈良スイーツにココロ奪われ、ちゃっかり食べて帰りました。特にならまち界隈、お洒落なリノベショップ&スイーツがたくさんありました~!