「最強」、という言葉が飛び出した。
POF~Party of the Future~でのことである。
5月4日(金・祝)5日(土・祝)、緑燦めく奈良県吉野の「ネオミュージアム」で開かれたパーティーには、全国から百数十名(!)が参加していた。
「プレイフル・ラーニング」「プレイフル・シンキング」の提唱者、上田信行先生が主催。同志社女子大学上田ゼミの学生さんたち、GBこと、ガールズメディアバンドのみなさんが企画、プロデュースしたものである。
「パーティーに参加してきました」と聞いて、このPOF独特の、ワークショップのプレイフルな「るつぼ」状態を、想像できる人はいないだろう。うーーーん。少々説明に窮する。
Party of the Future、というのは上田先生がパーティーを開始されて以来30年近く変わらぬコンセプト(*1)。
今年は「THE NEXT」とのテーマが冠された。
2日間連続、お泊まり合宿が基本であるが、私は2日目のみの日帰り参加。
企画者にしてみればイレギュラーな参加方法であったろう。
途中参加ながら、次々と展開され形を変えていく生きもの、のようなパーティーを、実にワクワクドキドキと楽しむことができた。
* * *
POFの企画をGBのみなさんが担うようになって今年で7年目。上田ゼミの7期(4年生)を中心に、8期(3年生)が準備(*2)。GBの歴代OG(卒業生)たちもゲストとして参加している。
私は昨年に続き2度目の参加であるが、毎年参加の人もいる。そもそも、この参加者たち(ゲスト)が、それぞれにタダモノではない。
そんな中、パーティーのクロージングにて、「最強のPOFにしましょう!」との言葉が、進行役のGBから飛び出していた(*3)。
おおっ!強気!
しかし、言いたくなる。
それほどのパーティーだった。
テーマは「THE NEXT」。
さらに、「アンカンファレンス」。
これのパーティー版、ということで、「アンパーティー」だった。
* * *
「アンパーティー」。
つまり、パーティーの枠組をほどいている。
もてなす側ともてなされる側がひっくり返ったりする。
具体的には、こうだ。
1日め、いくつかの用意されたお題をもとに、パーティーの「具」である「ワークショップ」をつくるメンバーを募集する。
参加者(ゲスト)は、それぞれに心惹かれたお題に集まる形で、全員、どこかのチームに入る。
お題は「レゴ」だったり「ファッション」だったり「プレゼント」だったり。数人がチームを組み、2日めのパーティーの演目たるワークショップをつくるのだ。
(ワークショップをつくるワークショップを行うのだ。)
2日めは、10個ほどできあがったプログラムが、次々に開催されていく。
1日を4コマほどに分け、一つの時間枠内に、2~3のプログラムが同時進行にて展開される。
POFの(初日からの)参加者は、自身がワークショップや演目の提供者になる時間帯が必ずある。その時間帯以外は、他チームの提供プログラムの参加者になる。
もてなす人ももてなされる人も、参加者、つまりPOFのゲストなのだ。(ややこしいな。)
* * *
想像してみてほしい。
「はじめまして」で顔を合わせたゲストたちが、数時間の準備ワークショップを経て、実際にプログラムを提供するのだ。
時間通りに収まるのか?会場の動線は?備品は?アナウンスはどうするのか??しかも2日めから参加するヤツ(←私)もいるぞ?流れに吸収できるのか?
、、、というワクワクとハラハラの中で、鮮やかにプログラムが展開されていく。
タイムテーブルは、時々刻々と変化する。状況に応じ、「じゃあ、●●ワークショップは繰り上げて、ティータイムから平行して進行しましょう!」などと、その場で組み替えられ、ちゃちゃっと表にされプロジェクタで壁面に投影、即時にシェアされる。
2日目から参加の私は、目の前でリアルタイムで展開される仕組みと構造が見えてくるにつれ、、、びっくらこいた。(としか言いようがない、マジで。)
* * *
「当日つくったプログラム」が「複数同時に」「パラレル」に進行する。
参加者は、どのプログラムに参加するのもアップトゥーユー。つまり、1人1人が、ネオミュージアムという同じ場を共有しながら、選んだ組み合わせにより、異なる道筋のストーリーを体験する。
この、先の見えないワクワク感。
もてなしのベクトルが一方向でないことから、会場のあらゆるところで、あらゆる時間帯が、中心(ワクワクの震源地)になる。
人々の興味関心の中心、熱量の「だんご」の中心が、複数、同時に波を打って生成され変化するのだ。会場全体が生きもの。
この状況、これはヘタしたらチカチカと文化祭的に散漫になるだろう。もちろん、ヘタはしない。
ベースとなる「でっかいデザイン」がなされている。
用意されたツール(小道具)やお題、キーワードや音楽、空間が、大きな物語を紡ぐ要素として用意されている(=企てられている)ので、散漫にはならないのだ。
そう。ゲストがパーティーづくりを楽しみ、もてなし、もてなされている間に、GBたちは、この「でっかい器」をつくり続け、こわし続け、企て続けていたのだ。
うーーーむ。スゲイな、GB!
* * *
パーティーのクロージング、GBたちが今年のPOFの「メイキング動画」を流し、メイキングの種明かしをしてくれた。
種明かしって、ともすれば興ざめになったりするよね?
心配ご無用。種が銀河の星の数よりたくさんあるから、少々明かしたところで謎は尽きない。
彼女たちは、準備に5ヶ月を費やした、という。
POFのみならず、彼女たちには、毎月のように「舞台」がある。(学内外で、ワークショップ企画開催のお声がかかるのだ。)
これらと平行しながら、POFに5ヶ月をかけ、その間、「つくって、ためして、こわして」を延々と繰り返した、という。
当日の臨機応変度。ハプニングも「コミ」で、どこを切っても、GBの誰にどのタイミングで誰から何を聞いても、金太郎飴のように、「POF」がカラフルに「自分の言葉で」出てくるようにするには?100何十人のゲストの「るつぼ」を回し続けるには?
仕込みの「深さ」「奥行き」がマリアナ海溝級に必要であることは想像に難くない。
5ヶ月をかけて自律的に深掘りできる(深掘りしたくなる)ほどのテーマであることも、重要だろう。
* * *
マジカルなパーティーに心地よく翻弄されたクロージングで、飛び出した「最強」との言葉。
去年よりおもしろくないと「今年もおもしろいですね」とは言われない。
うん。
一票。
もうひとつ、GBたちの、印象深かった言葉がある。
彼女たちGBは、パーティーを「デザイン」した、と言っていた。何度も出てきたワードである。実に自然に、身に付いた言葉に聞こえた。
きっと、5ヶ月間、何度も「つくって、ためして、こわして」たんだろう。
チャーミングなデザインだった。敬礼。
■追記
・その1:
ゲストが即興でつくったワークショップは、どれも半端ないクオリティだった。ツワモノたちが参加していることが大きい。そして、ツワモノたちを「本気」にさせる、お題が設定されていた。本気で創り、本気で遊ぶ。それに条件(制限)があり、テーマがある。読めないハプニング要素がある。、、、そりゃー、たまらんやろ。
・その2:
POF名物?クロージングでは2日間の取り組みの様子が、動画に編集され流される。このクオリティーが超絶、トリハダ。神戸芸術工科大学の学生さんが、2日間カメラを回し、編集ルームにおこもりし、クロージングに間に合わせ上映するのだ。、、、が、ただの記録の域をはるかかなたに超えている。アーティスティックで、会場から歓声があがる。今年は3本上映され、うち1本はGBがつくった(!)、という。ぜひYouTubeにあげてほしい~!
・その3:
、、、と思っていたら、dropboxに動画が1本アップされていました。作者である岩崎和樹さんの許可を得て、アドレスをこちらでご紹介いたします。、、、マジ、超絶クオリティー。「その場で」上映されたんですよ?3分があっちゅーま。ぜひ、ご覧ください、、、!
pof2018.m4v by 岩崎和樹氏@神戸芸術工科大学↓こちら
https://www.dropbox.com/s/3rxbig60qhrg68t/%E5%8B%95%E7%94%BB%202018-05-05%2016%2035%2047.m4v?dl=0
■補足
*1:
パーティーについての上田先生による記述。「人をプレイフルにする空間として僕が注目するのが、『パーティー』である。パーティーといっても、単に華やかな場所というだけでなく、そこには人と人との出会いがあり、プレイフルな活動や会話を通して、新しいアイデアや考え、思想が生まれる場所としてのパーティー、プレイフルな場の進化系としてのパーティーである。」…「プレイフル・シンキング 仕事を楽しくする思考法」宣伝会議より
*2:
企画プロデュースをした7期(4年生)、8期(3年生)に加え、2年生も参加していた。2年の彼女たちはゼミ生ではないが、上田先生の授業の中で力いっぱいダンスを踊っていた学年だ。先輩たちがつくるパーティーを経験できるって大きい。上田先生言うところの「憧れの最近接領域」に出会う瞬間だ。キラキラの遺伝子を受け継ぎ、また来年も再来年も「今年が最強!」と言っちゃってほしい。
2017年、当時の3年生(現4年生)と1年生(現2年生)の授業を見学させていただきました。
↓こちら(ブログにまとめてます)
https://mlog.link-cd.jp/20170716-275.html
*3:
「最強のPOFです!」と言い切っていたかも?言い回しは定かでないが、「最強」と2回は聞いたぞ。(笑)