文学部がナゾであった。
いや、総合大学そのものがナゾである。
「ゼミ」もわからない。
総合大学を構成しているであろう「アタリマエのことども」がイチイチわからない。
ナゾだらけの総合大学の文学部(正確には大学院なので研究科)の有志のみなさんを実験台(?)として、セミナー&ワークショップの機会をいただいた。
名古屋大学大学院日本文化学専門の学生さんたち(修士課程と博士課程)を対象として、学会発表や授業で用いるPPTとレジュメを題材に、「デザイン」のセミナー&ワークショップを行うのだ。
5月13日、ジブン未踏の「文学部」「総合大学」へと、好奇心満タンでオジャマした。
* * *
ところで、私は、グラフィックデザイナーではない。
パッケージデザイナーでもWEBデザイナーでもない。
が、手っ取り早く、だれかにデザイナーとして自己紹介するときは、「見せられるもの(カタチあるもの)」をお見せすることになるので、なんとなく、そういった「美しげ(?)なカタチをつくるヒト」と思われることが多い。
そんな私に、文学部のみなさんが「デザイン」に触れる、仲を取り持つ機会をいただける、という。
、、、どうしよう。
どこからアプローチしよう。
もちろん私は、「デザイン(という行為・行動)」は、だれにとっても、とても有効である、と無闇に(?)信じている。(ときどきめげもするけれど。)
「基本的なスキル(教養)」として、だれもがその主(あるじ)となれば楽しいだろうなあ!と思っている。
ナゼカ?私は、「世界中のデザイン」を背負って立っているかのようなキモチで(笑)、文学部のみなさんに臨んだ。
そこには、好奇心とホスピタリティーに満ちた(想像よりずっとオトナの)学生さんたちがいた。
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PPTのタイトルは「ブンガクブmeetsデザイン」とした。
事例を交えたセミナーのあと、学生さんの作品(と言うのかな?)であるPPTやレジュメのプレゼン、「アトリエ形式」の合評。
普段は内容にかかるコメントが飛び交うであろうその時間帯に、「それぞれの現場での伝わり方(=相手の受け止め方)」「構想を視覚的に検討しまとめるまで(=目で掴んで考えるプロセス)」などデザイン面からのコメントをたっぷり。これを受け、ただちにその場でグループワークにて手直しする学生さんたち。
「プロッキーをググりました(笑)」というくらい、言葉が通じない(?)ヒトたちと、「ゼミ」「文学の学会」と言われても状況がピンとこないヒト(私)。
「デザイン山」に、文学ルートから登ってきたヒトと、芸大ルートから登ってきたヒト。互いの登頂ルートに思いを馳せつつ、日ごろ意識していない概念を言語化して伝え合う、異文化を行き来する新鮮なセッションとなる。
終わってみれば、5時間超の長丁場。
集中切れず、まとめのグループワークまで積極的に取り組んでいた学生さんたち。ビフォー・アフターで、手応えを感じてもらえただろうか?
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後日、担当教官の日比さんから「学生のレジュメが変わりました」とメールをいただく。
タネを巻き散らかしたかのようなセミナー&ワークショップだったけど(たくさんこぼれた気もするけれど、汗)、「デザインに出会えた」んだな、その学生さんは。(しめしめ。)
吸収早いな~!
私も見たいです。(笑)
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■おまけ1
ことの始まりは3月4日に京都で開かれた「FDフォーラム」。
テーマは「大学における教養教育」、シンポジストとして名古屋大学大学院准教授の日比嘉高氏が登壇。
「教養」というワードと美しいPPTにフックされた私の耳に、
「学びは複雑系。要素分解して○○にはカルシウム、○○にはビタミンA、と、個別に摂取するよりも、まずは<焼肉定食>としてまるごと食べてみろ。」
との日比さんのエールが飛び込む。(正確な言葉遣いではありませんが。少なくとももっとジェントルでした。手元のメモによる。)
ほんま、そうや。複雑系の巨大ネットワークを、まずは、そのまんま、受け取る。
情報交換会(という名の立食懇親会)にて、「教養」と「デザイン」に話がはずみ、今回の機会をいただく運びとなった。
20分の立ち話のあとは、セミナー当日までメールのやりとりオンリー。
当日、「ああ、あの言葉はそういう意味でしたか!」と、文化の違いによる互いの想定のズレがザクザク見つかり、目からウロコ(!)。この発見が新鮮で楽しかった。当日見えたことを受け、プログラムを変更しながら進めていく。(もちろん?延長。笑)
写真を撮る間もなかったけれど、ハジメテの名古屋大学のキャンパスは緑まみれで美しかった。
日比さん、そして実験台(?)になってくれた学生さんがた、ありがとうございました。
シーユー!
http://park18.wakwak.com/~hibi/index.htm
■おまけ2
あくる日はこれぞ名古屋!なレトロ喫茶でひたすらおしゃべり。尾張の休日を、ココロユクまでゼータクに過ごしました。そうか、これか!オワリよければスベテよし。